表現者として競技で勝ちたい!
石川ヒロ
プロウェイクボーダー
東京豊洲の特設会場でウェイクボードシリーズ「2010アジアンプロツアー」がスタートしたのは、今年6月。プロウェイクボーダーの石川ヒロは、今季より新設されたプロベテランズのカテゴリーに出場。そして半年が過ぎた先日、彼から朗報が届いた――。
普段は荒川を拠点に活動し、国内で開催されるプロツアーとビックイベントのみ出場している、プロウェイクボーダーの石川ヒロ。今季は、ウェイクボードシリーズ「2010アジアンプロツアー」に新設されたプロベテランズのカテゴリーに参戦。初戦2位だった石川だが、その後開催された3戦で連勝し、ツアー終了時にはプロベテランズ初代チャンピオンに輝いいた。
「シリーズ優勝、初代チャンピオンになるのは目標でもあったので、やっぱり嬉しいですよね。だからこそ初戦で2位だったというのが悔やまれるんですよ。全優勝だったら良かったってね」
と石川は話す。
じつは初戦は足首を痛め、テーピングしながらの出場だった。石川は試合直後のインタビューで「全戦出場することを目的とし、競技よりも表現者として今は意識している」と話していた。ところがその後、石川の意識に変化が起こる。
「あの試合から自分の中で何かが大きく変わった。周りの人がいるから今、自分がこうしてウェイクを続けていられる……。いつもだったら突っ走ってしまうところを冷静に考えられるようになったし、集中力も今までとどこか違う。これまでの大会って僕にとっては“楽しみのひとつ”だったんです。普段ではなかなか感じられない大会ならではの緊張感がたまらないんですよね。でも今シーズンは“楽しさよりも結果を残そう”という思いが強くなった」
練習が来季の勝敗を決める!
2戦目の北海道、3戦目の大分で優勝し、最終戦は兵庫・芦屋。石川にとっては地元でもある。当然優勝して最後を飾りたかっただろうが、大会一週間前に風邪をこじらせ、ほとんど練習をすることができなかった。焦りから1本だけでも滑っておきたいと風邪薬を服用して練習に臨んだ。しかし、逆に意識が朦朧(もうろう)としてしまい、ランディング時に初戦と同じ足首を痛めてしまうというアクシデントに見舞われた。そんな最悪なコンディションの中、大会に臨むこととなったのだ。
「まともな食事をしていないので体力がすっかり落ちて、滑るとハァハァと息切れはするし、筋肉痛にはなるし……。これまでの2戦は勝てるという自信がどこかにあったけれど、最終戦でのコンディションは最悪。とりあえず(朦朧としてしまうので)風邪薬は飲まんとこ、と思ってテーピングだけして出場しました。そんな状態だったので優勝する自信など全くなかった」
ところが周囲もミスを連発。石川自身、内容は満足のいくものではなかったが、きっと運を掴み寄せる何かがあったのだろう、結果的に優勝してしまう。
大会終了直後の石川は3連勝し、念願のシリーズ優勝を果したことで気持ちが高揚していた。しかし時間が経つにつれ、徐々にこれまでのレース内容に複雑な思いを抱き始める。
「嬉しいという気持ちはもちろんあるけれど、どの大会を振り返っても自分の中で完璧と思える滑りが一度もなかった。ここはこうやったら良かったとか、なんであそこで決められへんのやろうとか。内容には全然満足していない」
シーズン初めの頃に会った石川と違い、今、目の前にいる彼は“表現者として競技で勝つ”という意識に変化していた。レース前には大好きなライダー、ランディ・ハリスが出演したビデオから流れる曲を聴き、試合をイメージするという。
「今年は新設されたプロベテランズというカテゴリーを様子見する選手達も多かった。来年はさらにレベルもアップするだろうし、その中で勝つということは今年以上に難しくなるはず。しかもシリーズチャンピオンとなったことで来年、ワールドチャンピオンシップへ出場することも決まった。これは日本人初。昔、食い入るように見ていたビデオの中のライダーたちが参戦しているのでかなりレベルは高いけれど、その中に混じって自分の最高の滑りができればと思っている。それには寒い冬での練習が来季の勝敗を決めるんですよね」
すでに石川は来年の大会に向け、気持ちをシフトし始めていた。
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Hiro Ishikawa
石川ヒロ
プロウェイクボーダー
1975年生まれ。2002年、24歳の時に友人が持っていたウェイクボードを使って始めたのがきっかけ。2006年、周囲の勧めで出場した関西地区ブロック和歌山大会で優勝、関西地区ブロック浜名湖大会マスターズで2位、同年全日本選手権マスターズで3位。2007年にも関西地区ブロック和歌山大会マスターズで優勝するが、プロの登龍門となる全日本大会で成績が残せず、2008年アマチュアランキングで4位となり、プロに昇格。2010年プロツアー初戦豊洲大会では2位に。現在はウェイクボードスクールMWBでインストラクターとして活動しながらプロツアーを転戦する。
公式サイト http://www.mwb-ts.com/
Text & Photos:Aya Kubota
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